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いろいろなんでも


by ikeday1
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フェルマーの最終定理、サイモンシン著

フェルマーの最終定理、サイモンシン著_b0050317_20221924.jpgネタばれあり。まだ読んでいない方はご承知置き下さい。

これはすごい本だ。本当に一気に読んでしまいました。17世紀のアマチュア数学者フェルマーが世に問うた一つの定理。

Xn+Yn=Zn n>2の時、X,Y,Zを満たす自然数はない。

という簡単な形。n=2であれば、ピタゴラスの定理を彷彿とさせる形である。フェルマー自身は「証明した」と断言するが、その証明は明かしていない。そこで世に名だたる数学者達がこれに挑んで350年。遂に20世紀末、アンドリューワイルズという数学者が証明した。しかし、この数式を証明する事にどんな意義があるのか?ただ単にパズルを解きたいだけの動機なのか?著者は、数学者達、それもこの分野である数論の学者達の動機はまさにパズル解きであると言っている。しかし、そこに展開されるのは人類の英知を結集した理論の世界であり、我々凡人には何の事だかよくわからない。ロマンってこういう事なのか。。。などと考えてしまう。勿論、数論が我々の文化社会に何の利益ももたらさないのかというと、ちゃんと役に立っている事なども紹介して、バランスの取れた著作となってはいる。

いやぁ、しかし、すごい物語である。この定理の証明に関わった人々のドラマ、悲哀、挫折などがちりばめられている。更に、補填にはピタゴラスの定理やら数学的帰納法の例まで載せていて、理系人間にも楽しめるよう考慮されている。著者はサイモンシンと言う人で、素粒子物理学の博士でありながら、BBCに入社し、この本の成功で作家になったらしい。BBCではこのテーマをもとにドキュメンタリーも作ったそうだ。是非、見てみたい。やるとしたらNHKなのだろうか?BBCのドキュメンタリーはイギリス人なら無料でダウンロードできるんだよなぁ。。。見たい見たい!

そう言えば、理系の人達が書き上げる本って結構お気に入りが多い。ロビンクック、マイケルクライトン、瀬名秀明など、やはり私が理系人間なので、共感する部分が多いのだろうか?この本の訳者である青木薫氏は女性の理論物理学者であるそうだが、やはりこの本に飲めり込んでしまったらしい。一気に読み込んでしまう本。。。久しぶりにお目にかかった感じだ。

追伸:ワイルズ博士のフェルマー最終定理証明の論文はここからダウンロードできます。また、その証明の補正分の論文はここからどうぞ。僕にはさっぱり分かりませんでした。
by ikeday1 | 2006-08-30 20:22 |